こんにちは。
埼玉県所沢市にある有限会社石州石工興業です。
今回は勾配について補足と言いますか・・・
縦断勾配と横断勾配の説明をしていきます。
本題に入る前に、建設業界の人達には常識かもしれませんが、今一度勾配について少しお話させて頂きます。
辞書で調べると、水平面に対する傾きの度合いと書かれています。
坂道の傾斜、柱・建物の傾きを思い浮かべてもらえばよいかと思います。
勾配の表し方にもいくつかあります。
・坂道の警告標識で見られる%(百分率)
・物の傾きで使われる度(30°)
間知ブロックの勾配は、度で書かれている時もありますが、割・分で書かれている事が多いです。
勾配にも色々とあり、大きく分類すれば、縦断勾配と横断勾配があります。
縦断勾配は、道路・鉄道の延長方向の勾配です
上り坂とか下り坂の傾きのことです。
河川の流れも縦断勾配です。
横断勾配は、道路、鉄道の延長方向に対して垂直方向の傾きです。
道路脇の間知ブロックの傾き、河川の土手の傾斜、オーバルサーキットのバンクなどが横断勾配になります。
出典:国土交通省ウェブサイト (河川構造物)
縦断勾配からちょっと掘り下げていきます。
道路の縦断勾配は坂です。
このような看板を見たことがあるかと思います。
これは10%勾配の上り坂があります。という警告標識です。
10%勾配の坂って何ってなると思います。
この坂は100m進むと10m高さが上がるという事です。
では、図にしてみます。
10%、5%で書いてみました。
10%勾配は結構な坂道になります。
ちなみに
上の写真は一時期よく見かけた島根県のベタ踏み坂こと、江島大橋。
横から見ると
こんな感じです。
この橋の勾配で、6.1%です。
日本一最大勾配の坂は、大阪と奈良の境にある 暗峠(くらがりとうげ)のヘアピンカーブで41%(正確な数値は不明で諸説あります)だそうです。
上の写真が暗峠の41%勾配の部分です。
日本の道路は、道路構造令で場所・道路の種類などで道幅・車線数・歩道幅などが細かく決められています。
縦断勾配はいろいろ条件はありますが最大で12%になっています。
話は変わりますが
平地から坂道、坂道から平地に進むとき
バンパーを擦ったりせずに通行できます。
坂道を上がっていき頂上から下っていくとき
頂上で車の下を擦ったりすることなく通行できます。
上の図は坂の出入り口と頂上を極端に描いたものです。
見ての通り角ばっていてスムーズな通行はできません。
車や鉄道などがスムーズに通行できるよう緩やかに摺り付けています。
摺り付け部分を縦断曲線とかバーチカルカーブと言います。
上の図は最初の図に縦断曲線を描いたものです。
勾配の急な変化を無くし見通しを確保し、スムーズな通行が出来るようにしています。
道路に関して話してきましたが河川に関しても、上流から下流へ水の流れる方向に河床勾配があり縦断勾配となります。河床勾配はi=1/50、i=1/100など分数で表記されます。1/100は水平距離100に対して高さが1下がるという事なので1%勾配と同じ意味となります。
次に横断勾配の説明をしようと思います。
わかりやすい所で言えば、初めに書きましたが道路わきに建っている間知ブロックとか、河川の土手の傾斜がそれにあたります。
まず、道路には中央から路肩に向かって横断勾配がついています。
道路に水が溜まらないようにする水勾配です。
1.5%以上2%以下になっています。
歩道に関しても、1%~2%の水勾配がついています。
簡単に図にするとこんな感じです。
自動車レースが好きな人ならわかるかもしれませんが、デイトナ24時間耐久レースで使用されるデイトナ・インターナショナル・スピードウエイのコーナーは、最高速アタック時は300km/h近い速度でコーナーに進入して曲がっていきます。
なぜそんな速度で曲がっていけるのか!!
それは、傾斜31°のバンクがあるからです。
あの傾斜は、私たちが使う一般道にもついていて
片勾配・カントと言われています。
コーナーを曲がる際、遠心力で外側にもっていかれるのを抑えて
横転などをさせず安定した走行ができる様に、内側よりも外側を高くし、場所や条件にもよりますが最大で6~8%の勾配がつけられています。
鉄道や道路の話ではないのですが、ジェットコースターでは遠心力で外側に放り出される感覚を体感させる為に、あえて内側を高くして逆カントをつけていたりします。
少しカーブについて書きたいと思います。
横断方向の曲線部、一般的にカーブと言われるところです。
上図のようなカーブがあるとします。
このカーブは曲率(曲線や曲面がどれだけ曲がっているか)が一定です。
その為に直線からカーブに入った瞬間に、曲がれる角度にハンドルをきって保たないと曲がれません。
車を運転する方ならわかると思いますが、カーブを曲がる時徐々にハンドルをきって曲がり切れる角度にすると思います。
安全と運転者の負担軽減の為、上図の赤い線のように曲線半径を徐々に変化させていきます。
変化させている区間が緩和曲線です。
緩和曲線には種類があります。
道路・地下鉄は、クロソイド曲線。
鉄道は三次放物線、新幹線はサイン半波長曲線、が使用されます。
難しいのでこれ以上は触れないことにします。
ここまで、いくつかの道路構造上の横断勾配をあげてみました。
弊社で施工している道路・河川沿いの間知ブロックは、何回も触れてますが、垂直に積みません。(たまに例外もある)
3分勾配や、75°勾配に斜めに積みます。
道路・河川に対して垂直方向の傾きになるので
横断勾配になります。
縦断方向には通常は間知ブロックは勾配をとらず、下の図のように水平にして基礎から階段状に段差をつけます。横の赤いラインが地面の高さ(GL)を表しています。(但し、河川は大体河床勾配なりに施工します。)
稀に、道路でも境界の関係で、「縦断勾配成り」に間知ブロックを積む事があります。
今回は長くなったので、次回は実際に「縦断勾配成り」に間知ブロックを積んだ現場の話を、写真等を交えてお話したいと思います。
弊社では、道路舗装はしないので書いてある内容に至らない所もあるかと思いますが多めに見ていただけるとありがたい限りです。
write by N・D